人気ブログランキング | 話題のタグを見る

学校の怪 二題





わたしの大学は墓所だった。
これはいくらか信憑性のある話で、一昨年まで学長を勤めていたわたしのゼミの教授も話しているし、事実学校の隣は霊園なのである。
今大学の建っている場所にあった墓を霊園に移し、その上に学校を建てた経緯があるらしい。

一つ目は図書館の地下書庫の話。
暇そうにしている事務の方から聞いた話である。
地下書庫へ降りるためには受付で学生証を提示して、荷物を預けなければならない。
その際受付から地下へブザーを鳴らすのである。一人降りるなら一回、二人降りるなら二回。
しかし、毎週火曜日の夜九時になると、誰も来ないのにブザーが勝手に鳴るそうだ。
毎週火曜日の九時、一回だけ鳴るのである。
勿論受付ではブザーを押していない。
だから火曜日の遅番で地下を担当するのは誰もが嫌がるそうである。


二つ目は先輩のゼミ教授の話。
教授自体に何かがあるわけではなく、教授の研究室の電話が問題なのだそうだ。
研究室で二人きりになると絶対に電話が鳴る。
教授は電話を取らずに切るらしい。
聞けば「どうせ取っても誰もいない」らしい。

つまりは無言電話だろう、と先輩が教えてくれた。

面白がった先輩は、教授が講義で研究室を空けている隙に、ゼミ仲間と二人居座ったらしい。
三十分待っても電話が来ない。いつもならすぐにくるのだが……。
暇つぶしに下らない話をしていた。
一時間経った頃、電話が鳴った。
電話に出てみる。
何か言っている。
だが声が低くてよく聞き取れない。
すぐに電話が切れた。
直後に再び電話が鳴った。
「今からそっちへ行く」
とだけ聞こえた。
暫く待ったが誰も来なかった。
by tominaga103175 | 2006-01-16 23:32 | 怪談

怪談、クトゥルフ神話サークル『アコンカグア』本島としやのブログです。

by 本島としや
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31