2007年 01月 22日
うち、幽霊が出るんだ。
友人Nのバイト仲間の話。
このバイト仲間を仮にAさんとしておこう。
Aさんの友達Iは一人で暮らしている。
二人は仲が良いのだが、Iさんはどうしても家に友達を招くことはなかった。
あるときAさんは、Iさんが来客を拒むわけを聞いた。
曰く「お化けが出る」らしい。
いい歳して何がお化けだ。
そう思った。
嫌がるIさんを無理に説得し、一晩過ごすことにした。
Iさんの部屋に不自然な布が垂れ下がっていた。
その布の向こうは壁なのだが、ここから幽霊が出るそうだ。
深夜、布が突然盛り上がった。布の反対側から押しているように。
やがて暖簾のように貫通して白い腕が伸びてきた。
その腕は何かを探すしぐさをしながらキョロキョロ動いている。
驚いて見ていると、やがてもう一本の腕が、さっきの腕に覆い被さる様に壁からニュルリと伸びてきた。そしてもう片方の手首を握り締め、壁に引き戻した。
「な?」とIさんは諦めた顔で呟いた。
その後、布の向こうをあらためてみたが、何の変哲もない壁だったのだという
by tominaga103175
| 2007-01-22 23:34
| 怪談