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怪談 意味深なうたた寝

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怪談、クトゥルフ神話サークル『アコンカグア』本島としやのブログです。日々収集した怪談を更新していきます。と思っていたけど最近はけっこうグダグダCDレビューしてる。

終末計画 ③

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いつもと同じように朝食を食べ、いつもと変わらない風景の道を歩く。
鳴島翠は学校に到着すると授業を受ける。
窓から見える錆びついた遊園地の観覧車は、強風に煽られて右へ左へ揺れている。
今日、学校が終わったら午後九時に観覧車へ行く約束をした。
友人の佐伯智紀とである。
佐伯はいつも眠たそうな目をしていて、喋り方ものんびりとしているが、頭の回転が速く好奇心旺盛な奴だ。
遊園地に妙なじいさんが住み着いたって話はここ二ヶ月位前から僕らの間で噂になっている。ばっちりと決まったスーツを着ていて、身だしなみも整っている。物腰も穏やかで、とてもホームレスには見えないらしい。
遊園地のオーナーは十五年前に亡くなっているらしいから、持ち主ではなさそうだ。
あのじいさんには奇妙な点は三つあると佐伯は言う。
一つはただのホームレスとは思えないと言う事。
二つ目は儀式の事。儀式は毎週月曜日と金曜日に行われる。じいさんは夜、公園へ行き地面に奇妙な図形を描くのだそうだ。そして図形の周りに水を撒きながら「だらごんさんだらごんさん」と唱える。一時間から一時間半繰り返していると、やがて「今日も駄目か」と怒って公園から去ってしまうそうだ。最近では噂が噂を呼び、じいさんが儀式をする時間になると、それを面白がった奴らが肝試しがてら集まるようにもなった。
三つ目は時間の事。遊園地に忍び込んだ奴がいるらしい。誰かは教えてくれなかったが、そいつから直接聞いた話らしい。深夜に忍び込んだ遊園地で、例のじいさんに見つかってしまった。そこからの記憶は無いそうだ。ただ、気がついたとき、なぜか彼は自分の部屋で眠っていた事と、忍び込んだはずの日の前日だった。怖くなって、その日――つまり忍び込んだはずの日の前日――遊園地に忍び込むのをやめたらしい。
私はそういう話を聞いてもあまり興味が湧かなかった。
正直好きな部類の話ではない。
でも、佐伯がどうしても一緒に見に行こうと強く誘うので結局断れなかったのだ。
適当に見て、ちょっとお化け屋敷に入る気分でも味わえれば満足してくれるだろうとも思っていた。
数学の先生の言葉は頭に入ってこない。ぼんやりと外を眺め続ける。
教室から覗く観覧車は相変らず風に身を任せたまま揺れている。
ふいに違和感を覚えるものが目に入った。
観覧車の一番上のカプセルの上に、誰かが立っているようだ。
性別は分からない。あれが噂のじいさんだろうか。
手を振っているようにも見える。おいでおいでと。
見てはいけないものを見ている気がして、目を逸らす。
斜右の席の佐伯が振り返り、にやりと笑った。
佐伯も気付いたのだろうか。あの観覧車の上に立つ人に。
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by tominaga103175 | 2008-03-23 21:24 | 創作