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終末計画

「終末計画 ①」
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廃退した街の景色を見おろしているうちに、今日もまた太陽が沈んでいく。
観覧車で過ごす日々を最早考えるに及ばないほど繰り返している。
愛犬のフレディが私の座る観覧車のシートでうとうと眠たそうだ。
風が吹く度観覧車の頼りないカプセルが揺れる。
右へ――左へ――。ギィギィと軋みながら宙をさまよう。
私の住む遊園地はもう随分と前に潰れた。私がここに居ついてから生きている人に出会った記憶は無い。
「今日も誰も来なかったよフレディ」
頭を撫でるとフレディは面倒くさそうに尻尾を振る。
私は観覧車から出て、机代わりに使っている管理室に入り、缶詰を食べる事にした。
夕食である。
缶切りでギコギコやっていると、人の気配がした。
「あの……誰か居ませんか? 私は黄衣の王から紹介されて来たんですけど」
「ここだ。入ってきたらいい」
私は缶切りを置き、事務室から顔を出す。
「黄衣の王の紹介なら無下に断る事もできまいて」
女性であった。
白いワンピースは薄汚れて変色している。くたくたに疲れた表情がここへたどり着くまで如何に辛い事があったのか暗示している。
「どこからきなすった?」
「カルコサからです」
「一人でハリ湖を越えて来たのかい。大変だったろう。さぁ缶詰くらいしかないがゆっくりするとしておくれ」
彼女は名をセイレムと名乗った。
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こんな感じで地味に連作を続けていくのもありかなと思って書いてみました。
まだ何も起きてないが。筆は遅いでしょうが、ぼちぼち続けていこうと思います。
by tominaga103175 | 2008-03-02 22:37 | 創作

怪談、クトゥルフ神話サークル『アコンカグア』本島としやのブログです。

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